奉仕の理想-2つの奉仕哲学
日本のロータリーの創始者、米山梅吉氏は“This Rotarian Age”「ロータリーの理想と友愛」の翻訳に当たって、“The Ideal of Service”を「サーヴィス理想」と訳し、後に「奉仕の理想」となりました。
“Service”を「奉仕」と訳すこと自体、色々と論議が交わされているところですが、この際、奉仕はそのままさて置くとしても、“Ideal”はその語源から考えても「理念」と訳すほうが適切であり、“The Ideal of Service”は「奉仕の理念」と訳すほうが理解し易いと思われます。
また、数多いロータリーの公式文書の中で奉仕理念に触れているのは「決議23-34」のみです。
決議23-34には「ロータリーは、基本的には、一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情とのあいだに常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は奉仕―Service above self―の哲学であり、He profits most who service best という実践理論の原理に基づくものである。」と定義されています。
すなわちロータリーには二つの奉仕理念があり、その一つは職業奉仕の理念He profits most who service best であり、もう一つは他人のことを思い遣り他人のために尽くすという人道的奉仕活動の理念Service above self だと言うことができます。
さらに、公式名簿(Official Directory) の最終ページに記載されているBrief History of Rotaryには、奉仕の理想とは、「他人のことを思い遣り、他人のために尽くす」“thoughtfulness of and helpfulness to others”という解釈がつけられています。
ポールハリスはその著書の中で、ロータリーの「奉仕の理想」について、『ロータリーの概念する奉仕の理想とは、物の過程の最初に奉仕を置くものである。最も愚かな方法は金銭に集中することである』と述べ、さらに『有史以来、偉人中の最大偉人等がその言にその行に宣揚し来ったものは、「奉仕第一、自己第二」“Service Above Self”というスローガンのなかに要約され得る教義である』と説明しています。
2010年開催されたRI規定審議会において、決議23-34の第項をそのままロータリーの奉仕理念とする決議案が圧倒的多数で可決されました。
(出典:ロータリーの源流RI2680地区田中毅PDG 編集委員会一部加筆)